怖い話芸人のダイノジ大谷が、稲川淳二の超こわい話からBest5をピックアップ!背筋も凍るような恐怖体験をお届けします・・・
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話しの「筋」や「語り口」が見どころになる稲川さんの怪談では珍しく「声の不気味さ」が際立つ怪談です。視覚と聴覚と話芸の三位一体が実に絶妙で、ぼくは樹海へ行くといつもこの怪談を思い出します──でも本当に、夜の樹海へ行くと、何かが起こりますよ。
春に富士の青木ヶ原樹海、有名なあの樹海なんですがね。そこで撮影をしたんですよ。
この場所というのは、一般の方はまず来ないところですね。で、毎年かなりの死体があがる場所なんですね。で、意外に報道では紹介されてないんです。で、そこへ行きましてね、撮った映像というのが、だいたい樹海というところは、この、夏に皆さん中へ入って亡くなる方が多いんですよね。
冬場はそうはいない。ですから、あそこで見つかった、その死体というのは、ほとんどが夏服なんですよ。まあ、まだ多少寒いんですが、みんな夏服を着て、で、俳優さん。男女揃って、その辺りでこう登場するというシーンがあった。結構雰囲気がある。
で、「じゃあいよいよ本番いこうか」っていう話になったんですね。
深夜ですから、しーん、静まり返っている。
「じゃあ1回テスト行くよ」っていうんで
「よーい、はい」って始まった。
いい雰囲気ですーっと霊が出てきた。みんなが、
ううーとか、ああーとか、はあーっ
て出てくる。
まあまあいいんですがね、やっぱり欲をいうと、ちょっとその、もう少しこう腹の底からね、低いようなうめき声、これが欲しいなと思うと。
と、スタッフの人が来て、
「稲川さん、やっぱりあの低いうめき声、これ欲しいですよね」って言うから、
「ああ、そうだろうね」って話していたんです。
でも、まあ監督は私じゃないわけですから、余計なことは言わなかった。
で、
「はい、本番いこうか」って話になった。で、みんな位置へついた。
「はい、よーい」「はい」と、かっちん棒が鳴った。
いい雰囲気でふわーっと出てきた。10何人か・・・