怖い話芸人のダイノジ大谷が、稲川淳二の超こわい話からBest5をピックアップ!背筋も凍るような恐怖体験をお届けします・・・
怖い話芸人のダイノジ大谷が、稲川淳二の超こわい話からBest5をピックアップ!背筋も凍るような恐怖体験をお届けします・・・
話しの「筋」や「語り口」が見どころになる稲川さんの怪談では珍しく「声の不気味さ」が際立つ怪談です。視覚と聴覚と話芸の三位一体が実に絶妙で、ぼくは樹海へ行くといつもこの怪談を思い出します──でも本当に、夜の樹海へ行くと、何かが起こりますよ。
いい雰囲気でふわーっと出てきた。
10何人かぐらい。
ううーとか、はあーとか、はああーって出てくる。
いい雰囲気だ。
「ああ、やってるな」と思ったら
ううううー、ああああー
いい声出しているんですよ、誰かが。
「あ、いいね、いい声してるね」と。
みんなも「ああ、いい声出してるな」
と思いながら、「あら」って思った。
おかしいんですよ。俳優さん、向こう側にいるんだ。その声こっちからじゃないんですよ。
「あれ」と思っていたら、カメラさんが後ろを指さすんですよ。違う違う。そのうち音声さんなんかも「あっちあっち」って言ってるんですよ、みんな。
と、向こう側にいたスタッフが、
「向こう向こう」って言うんですよ。
そうなんですよ。
その声は後ろから聞こえてるんだ。
みんなの声じゃないんですよ。
え、これはおかしいなと思った。
ううー、ううー、むおおーっ
ていってるんですよ。迫力がある。
これ違うなと思って。
「はい、カット」終わったんです。そうしたら、もうその声もしないんです。
気になりましてね、行ってみたんですよ。暗い闇の中。
たぶんこの辺りだったよなと思って。
撮影しているその場所からせいぜい50メートルかそんなもんなんですよね。
その辺りでしてるんですよ、確かに。
で、懐中電灯でこう、
ふうー
っと照らしてた。と、スタッフが2人やってきたんですよ。
「こんな辺りでしたよね」
って言うから、そうだよね。もう落ち葉がふぁさっとね、もう降り積もっているんですよね。
しょうがないからこう、ぱっぱっと蹴ってたら、見るとね、何かスパッと切ったような、きれいな切り口の、この根っこのようなものが見えたので、なんだろうと思ってね、落ち葉の中へ手を突っ込んでクッとつかんで引き上げたんです。
見て驚いた。それ、短刀のね、柄なんですよ。
柄の部分なんだ。錆びてるもんだから、ちょうどその刃物が入ってるところで、これもう刃が抜けてないんですよ。
でもそのちょうどつかんだ、このね、刃物が刺さってるこの辺り、その辺りが錆なのか血なのかね、こげ茶色でべたってぬれてるんですよね。
たぶんそこ落ちてるんでしょうね。あの、うおおーってその声、たぶんその場所でもって首かなんかついたんでしょうね。樹海では、時々そんな不思議なことがあるんですよね。不思議ですよね。
稲川淳二さんの新作DVDが
バンダイビジュアルより発売中!
ダイノジ 大谷ノブ彦 | |
生年月日:1972年 6月8日 | |
血液型:B型 | |
出身地:大分県 佐伯市 | |
趣味・特技:ロックンロール/ 育児/文章を書く/グルメ |