【第八話】“サザエさん”の「じゃんけん」に勝つ方法。
「イタリア語で『磯野カツオ』は下ネタ」
「エンディングテーマは一番の歌詞でない」
「原作のイクラちゃんは女の子」……
1969年(昭和44年)の放送開始から45年。世界最長のアニメシリーズとしてギネスブックにも載っている日本の国民的アニメと言えば「サザエさん」です。
放送年数がここまで長く、また平均視聴率も20%前後を打ち出すほどの番組となると、様々な噂も生じるもので、冒頭の3つはマニアなら知っている本当のお話しです。
1991年秋以降「さ?て来週のサザエさんは」から始まる次回予告の最後に、サザエさんが手に持ったグー・チョキ・パーのパネルで「じゃんけん」をするようになりました。
この、いわゆる「サザエさんじゃんけん」に必勝法があるというお話し、あなたは聴いたことがありませんか?
* * *
サザエさんじゃんけんには必勝法がある。
予告編に入る前。エンディングテーマの最後に、サザエさんが笛を吹きながら一家をコテージ風の建物へ先導するカットがある。
この建物には煙突があり、そこから出ている煙の形に注目。
サザエさんが出す手は下記の通り。
1:煙が輪っか状→「グー」(パーで勝ち)
2:煙が線状→「チョキ」(グーで勝ち)
3:煙がない→「パー」(チョキで勝ち)
* * *
──いかがでしょうか。
ぜひ日曜日の夜にお試しください。
「そんなに待てない」というあなたのためにネタバレしますと、この法則は成立しません。いわゆるガセネタです。
では、こんな説を聴いたことありませんか?
* * *
サザエさんじゃんけんには必勝法がある。
サザエさんの出す手を記録してみると、チョキ・グー・パーの、単なる繰り返しである。
* * *
──いかがでしょうか。
「日曜日には予定がある」というあなたのためにネタバレしますと、この法則も残念ながらガセネタでした。
では、この説はご存知でしょうか──
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サザエさんじゃんけんには必勝法がある。
サザエさんはじゃんけんを始める前にグー・チョキ・パー、3枚のパネルを両手で持っている。
そのパネルのうち、サザエさんが左手に1本だけ持っているパネル(向かって一番右側)に注目。
いったん後ろに隠した後、必ずこの手を出す。
* * *
──いかがでしょうか。
週末の決戦を、どうぞお楽しみに。
「待つほど興味無い」というあなたのためにネタバレしますと、この法則もまた、残念ながら、成立しません。
「左手のパネルに勝つ手を出す」「負ける手を出す」という説もありましたが、いずれも不成立、いわゆる良く出来た作り話です。
つまり、サザエさんじゃんけんに法則性などありません。
これを踏まえた上で、誰もが「ホントかも」と信じてしまいそうな嘘を思いついたら、誰かにそっと教えてあげましょう。
もしそれが噂になれば、あなたも晴れて都市伝説の生みの親。胸の内側に、誰も知らない勲章を付けて生きる新生活のスタートです。
<次回予告>
「悪魔が出る」「自分の死に顔が映る」「異界の扉が開く」──次回は世界的に様々な噂のある「合わせ鏡」の都市伝説に迫ります。これを読むまでは、興味本位で実験などなさいませんよう、ご注意下さい。