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【第四話】膝に「フジツボ」生息事故の真相

「シャコが集まる所には」
「床をなめ続けるネコ」
「カマキリの寄生虫」……

どれもが古くから伝わる都市伝説の主役たち。時に可愛らしく、時に残酷で、時にミステリアス……「イキモノ」が織りなす都市伝説の中でも、最も多くの人に語り継がれた「フジツボ」の逸話を、あなたはをご存じですか?

ある夏のこと。
海水浴に来た男性が岩場で転んでしまった。

幸い大事には至らず、切り傷程度だったので男性はケガをそのまま放置した。

数週間後。男性は膝に違和感を感じ始める。

「ジャリ……」「ジョリ……」
膝はやがて妙な感触がするようになり、男性は病院に駆け込んだ。

レントゲンを撮ったところ、男性の膝の皿の裏側には、小さなフジツボがびっしり群生していたという。

いかがでしょうか。
岩に張り付いて何を食べているのかも分からない「フジツボ」という生き物の不可解さと「膝の皿の裏側にびっしり」という表現のインパクトで一躍有名となったこの逸話。後に「○○がびっしり」という都市伝説シリーズが誕生するキッカケにもなりました。

しかし「体内の塩分濃度は海水と異なる」「フジツボの幼生は岩に付着する前の形態で海を泳ぎ回り、プランクトンを食べて成長する」など生物学的な見地から、このエピソードは良く出来た作り話であるとされてきました。

しかし、こんな噂が囁かれ始めたのです。

20年くらい前、「ナイフマガジン」か「サバイバルマガジン」という雑誌に「潜水作業夫」という職業を生業とする男性のインタビュー記事が本人の顔写真付きで掲載された。

この男性が消波ブロック(俗に言う「テトラポッド」)の調査中のこと。時はフジツボの産卵期で海の中は真っ白だった。ちょっとした不注意から、男性は膝の辺りを消波ブロックにぶつけケガを負ってしまった。

ほんの擦り傷程度だったので、男性はごくごく一般的な傷の手当てをして、やがて傷も完治したかに見えた。

数ヶ月後、歩くたびにジャリジャリする違和感が膝にあらわれた。

職業柄、膝の故障を疑い精密検査を受けたところ、膝の関節周辺に小粒のフジツボが群生していたという。

男性は手術でフジツボを取り除き、潜水作業夫として働いている。

「事実は小説より奇なり」
体内でフジツボは生息できないと言われるが、事実こうした出来事があったとして「フジツボ伝説」は再浮上しました。

──ところが、このネタ元とされる「ナイフマガジン」と「サバイバルマガジン」。創刊はどちらも1986年、つまり27年前で「20年くらい前」という噂に、時期的には合っており、どちらも「モノ・マガジン」で有名なワールドフォトプレス社から発刊されている雑誌です。これが事実ならばその資料性の高さは確かなのですが、この記事が実際に掲載されていたのかは、現在、確認出来ておりません。

このままでは引き下がれず、当時これらの雑誌を読んでいたであろう「その手の情報通」各位に尋ねたところ「そうした記事を見た記憶はない」「記事になったという話自体が与太話なのでは?」とのこと。

調査が暗礁に乗り上げたかに見えたその時、興味深いニュースが発表されました。

カリフォルニア州に住む4歳の少年の皮膚の下で、ビーチで転んだ際に膝の傷口から侵入したと思われる巻き貝の卵が、孵化して成長していたと言うのです。(2013.08/20.CNN)

国こそ違えど「海辺」「膝」「ケガ」「海洋生物」という不思議なモチーフの一致……

生き物が持つ生命力の神秘と、人体が持つ温床としての可能性は、まだまだ都市伝説を産み出し得る「母なる海」なのかも知れません。

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