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【第三十話】案内どおりに進んでみたら……「カーナビ」にまつわる都市伝説

「海外で戦争が起こると精度が落ちる」
「レンタカーの目的地履歴がおかしい」
「大地震の前に調子が悪くなる」……

行きたい場所に、より早く到着するルートを案内してくれるナビゲーションシステム。今や近隣の観光スポットや、一番近いトイレまで案内してくれるこの文明の利器にもやはり、都市伝説は存在します──あなたはこんな話を聞いたことがありませんか?

*    *    *

車好きのAさんが、ネットオークションで中古のカーナビを購入した。

中古のカーナビを買うのは初めてだったが、新品の半額以下で買えることや、欲しかった高級機種に手が届くことは何より魅力だった。
それに、これまでカーオーディオやバックカメラを自分で取り付けてきたAさんにとって、消耗部品をカーショップで取り寄せたり、ガレージでの取り付け作業は決して苦ではなく、プラモデルを作るような楽しみがあった。

作業は思ったより早く、半日で完成した。
ハイクラス・ナビの性能を試してみようと、Aさんはさっそくドライブに出掛けた。

目的地は、ある峠の展望台に設定した。
行ったことのない場所と、深くは考えず──

渋滞した道を回避したり、事故の多い交差点では注意を促したりと、上位機種のきめ細やかな機能にAさんは大満足。高速道を降り、山道に入っても精度が高く、トンネルや細い道でもまったくズレを生じなかった。

夕方になり、天候が急変した。
激しい雨がフロントガラスを叩く中の走行だったが、Aさんはナビの優秀さに安心しきっていた。

「目的地マデ、道ナリデス」

その電子音声に、Aさんは疑問を抱いた。
今通り過ぎた小道に「展望台・8km」という矢印の看板を、目の端に見た気がしたのだ。

「誰かのイタズラか、オレの見間違いだろう」
Aさんはそう思って、道なりに進んだ。

日が暮れて雨脚はさらに強まり、ナビの声も聴きづらい程になった。

──その時ふと、進行方向で何かが光った。
ブレーキを踏んで減速すると、道の真ん中に赤い三角のカラーコーンが立っていた。

「何だ道の真ん中にこんなモン置いて……」

Aさんが車を降りてコーンをどけに行くと、なんと道の先は崖で、ダムの水面が暗がりに広がっているのが見えた。

「あのナビ、データが古かったのか……」

Aさんはゾッとして、車内に戻った。
そしてよく考えてみれば、この悪天候の中、崖の手前で停車した運の良さに安堵した。
その時だ──

「ワタシハココデ、死ニマシタ」

カーナビの告白に驚いたAさんが見たのは、道ばたに置かれた献花とペットボトルだった。

*    *    *

──いかがでしょうか。

カーナビやレーダーブレーキなど、運転にまつわるテクノロジーは日々進化していますが、ナビに言われるがままの運転をしていると、操作されているのは自分なのか機械なのか分からなくなることが確かにあります。

またパイロットの間で囁かれる都市伝説で、管制塔と自動操縦がまったく逆の指示を出し、人間を信じて管制塔の指示に従ったパイロットが事故を起こしたという逸話があります。

「機械の性能」と「人間の感覚」──そのどちらを信じるかを論じる以前に、「認知・判断・操作」のすべては、ハンドルを握るドライバーに課せられた重大な責任であることを痛感する都市伝説です。

<次回予告>
今のお住まいは賃貸? それとも分譲? 次回は「不動産のウラ」にまつわる都市伝説をクローズアップ。お見逃しなく!

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