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【第三話】「猫レンジ」とその真相

「女性が消える試着室」
「ハーメルンの笛吹き男」
「R社の車が壊れない理由」……

これらはすべて、海外で噂になった都市伝説です。テレビで放送したわけでも、関する本が出版されたでもないのに、口伝えだけで世界に広まった噂の数々──そのうちの一つ「猫レンジ」を、あなたはご存じですか?

独り暮らしのおばあさんが、子どもたちから電子レンジをプレゼントされた。

おばあさんは、料理を手軽に温められる文明の利器に大喜び。ミルクを温めるにも、冷凍食品を解凍するにも、とにかく電子レンジを活用した。

そんなある日、おばあさんの飼い猫が雨に濡れて震えていた。

「早く温めてあげなくては…」

おばあさんは猫を電子レンジに入れ、
スイッチを、入れた──

結果、猫は爆音とともに死亡。

おばあさんは消費者センターに電話をして、ことの顛末を説明した。
そして「猫を乾かすために使用してはいけないと取扱説明書に書かれていなかった」と、メーカーの落ち度を主張したのだ。

おばあさんの言い分は、常識的に考えれば理解しがたい、理不尽なものである。
ところが、この訴訟が法廷で争われた結果、電子レンジで猫を温めたおばあさんが勝訴し、説明書に「猫を入れるな」と書かなかったメーカーは多額の賠償金を支払うことになった。

この事件から、電子レンジの取扱説明書には「生き物を入れないでください」との注意書きが記載されるようになったと言う。

いかがでしょうか。
飼い猫の濡れた理由が「シャンプー」や「庭の水やり」であったり、被害に遭ったペットが犬・亀・小鳥・ハムスターというバリエーションもあるようですが「メーカーを訴え、勝訴」というオチは、1990年代になって後から付け加えられたエピソードのようです。

この「猫レンジ」ともう一つ、アメリカの司法制度に関する逸話としてよく語られる「ホットコーヒー裁判」をご存じでしょうか?

これは1992年、ニューメキシコ州で起こった本当の訴訟事例です。

おばあさんとそのお孫さんが、ドライブスルーで朝食のセットを購入した。

おばあさんが停車時にコーヒーカップを膝に挟んで蓋を開けたところ、誤ってコーヒーがこぼれ、足に火傷を負った。

おばあさんは火傷の直接的な原因こそ自分にあるとしながらも、そのコーヒーの熱さは異常であり、治療費の一部をバーガー店が補償すべきであるとの訴えを裁判所に提出した。

陪審員の評議により「訴訟と同様の苦情が多くあること」「店の提供するコーヒーが一般的なコーヒーメーカーより10℃以上高温であること」「店員が注意を促さなかったこと」を理由に、バーガー店に286万ドル(当時の日本円にして約3億円)の賠償支払いを命じる評定が下された。

この事件の後、訴えを受けたバーガー店は、コーヒーカップに「VERY HOT!」の注意書きを表示するようになった。

アメリカらしい裁判ネタとして語られる「都市伝説」と「訴訟事例」。こうして並ると、やはり実話の方には説得力と重みがあります。

今回、「猫レンジ」が実際にあった出来事なのか、それとも作り話なのかを証明する決定的な証拠は見つかりませんでした。

──しかし、

今回の記事を読んで「言われてみれば持ち帰り用のコーヒーって、めちゃくちゃ熱かったよな」と感じたあなたは、間違いなくアラフォー世代、しかもその年長組です。

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