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【第二十九話】日本一有名な不仲説の真相は? 「うなぎ」にまつわる都市伝説

「台湾沖で産卵し、日本の川へ帰ってくる」
「『まむし』と呼ぶのは蛇に似ているため」
「蒲焼きのタレは古いものほど旨い」……

日本では縄文時代から食べられ、万葉集でも滋養強壮に効果があるとされてきた「うなぎ」。この高級魚にもまた、先に挙げたような迷信や都市伝説が数多く存在します。

「丑の日」に食べると良いとされる「梅干し」と「うなぎ」の不仲説──あなたはこんな話を聞いたことがありませんか?

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丑の日にう「う」の付くもの──「うどん」「梅干し」「うなぎ」を食べると身体に良いという言い伝えがある。

日本のダ・ビンチこと平賀源内が「本日、丑の日」というキャッチコピーで経営不振の鰻屋を救ったエピソードは、これに目を付けたものである。

しかし一方では、この「梅干し」と「うなぎ」は食い合わせが悪く、一緒に食べると下痢や中毒症状を起こすと信じられている。

うなぎの脂っこさと梅干しの強い酸味が刺激し合い、消化不良を起こすため、というのが通説である。

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──いかがでしょうか。

食のタブーとしてよく挙げられる「梅干し×うなぎ」という組み合わせは、その出所がはっきりしない言い伝えの一つです。

この組み合わせについての最も古い記述は1838年。栗本丹洲がまとめた『皇和魚譜』という江戸時代の魚類図鑑に登場します。

<原文>
鰻と白梅(むめほし)反する事、民間皆知れり。然れども諸本草に見えず。

<現代語訳>
うなぎと梅干しの組み合わせが良くないことは誰もが知っているが、医学や薬学の文献にはどこにも見当たらない。
「梅干し×うなぎ」のタブーは、この段階でもかなり都市伝説の呈を示しています。

ところが、そこからさかのぼること120年。1710年代に書かれた貝原益軒『養生訓』には、うなぎと「ぎんなん」の食べ合わせの悪さが指摘されています。
この「ぎんなん×うなぎ」のタブーが、いつしか「梅干し×うなぎ」の禁忌にすり替わってしまったのではないか、という仮説を立てるのはたやすいことですが、これもいまひとつ説得力がありません。

うなぎではありませんが、よく似た風味の「あなご」には練り梅と組み合わせるレシピが数知れず、魚類の脂質と梅干しの酸味の相性の良さが覗われます。また、脂質の消化を助ける酸の働きに着目しても「梅干し×うなぎ」のカップリングは理想的で、バランスの良い食材と言えるでしょう。

そのため一説には、うなぎと梅干しの相性が良すぎるため、高級食材の食べ過ぎを防止する戒めではないかと言われています。

今や絶滅危惧種に数えられるニホンウナギ。
日本古来の食文化を保存するためにも、うなぎは高級食材として晴れの席で大切に食べる風習を、末永く守り続けたいものですね。

<次回予告>
次回は「自殺の名所」にまつわる都市伝説をご紹介。ある特定の場所で自ら命を絶つ人が相次ぐナゾに迫ります。お見逃しなく!

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