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【第二十六話】「持ち帰り禁止」には理由がある。「砂」にまつわる都市伝説

「孤独死世帯に高確率で甲子園の砂がある」
「星の砂には数万年前の物も混入している」
「インダス文明の砂に核攻撃の痕跡」……

都市伝説に登場するモチーフのひとつに「砂」があります。

風が吹けば飛ばされてしまいそうな「はかなさ」とは裏腹に、時を経て微塵になっても風化しないエピソードの数々──あなたはこんな話を聞いたことがありませんか?

*    *    *

自衛隊には「硫黄島の砂を持ち帰ってはいけない」という規則があるらしい。

東京から南へおよそ1,200km。太平洋に浮かぶ硫黄島は、言わずと知れた太平洋戦争の激戦地である。

終戦後はアメリカの空軍基地として使われていたが、1968年に日本へ返還され、現在は海上自衛隊管理の航空基地が設置されている。
この島全体が基地となっているため、自衛隊員以外の立ち入りは禁止されている。

硫黄島に勤務した隊員たちは、日本本土へ帰還する際、靴底についた砂を一粒たりとも持ち帰らないよう指示されるという。

──なぜ、そこまで厳しく砂の持ち出しが禁じられているのか。

ある隊員が、嫌いな先輩の手荷物に砂の入った小瓶を入れ、規則違反をさせるというイタズラを仕組んだことがあった。

ところが、砂の持ち帰りは表沙汰にならず、気付かぬうちに砂を持ち帰った先輩隊員は、おとがめのないまま本土での勤務に戻った。

それから数ヶ月後。
例の先輩隊員が事故でケガをしたと言うウワサが流れて来た。話しによると、硫黄島から帰還後、先輩隊員は夜な夜な旧日本兵が枕元に立つという悪夢に悩まされていたという。

「砂の持ち出し禁止は、このためか……」

イタズラをした隊員は自分の浅はかさを認め、先輩隊員と戦没者に謝りに行ったという。

*    *    *

──いかがでしょうか。

自衛隊の規則については、その理由も、そもそもこうした規則が存在するのかも定かではありません。

しかし、太平洋戦争の終結から69年を迎える今もなお、日本人戦没者の遺骨1万3千柱が硫黄島に残されていると言います。

激戦の島の砂を持ち帰ると言うことは、戦死者の骨を拾うのと同じこと。その縁を頼って供養を求める霊が現れるのも、当然と言えば当然ではないでしょうか。

月日が経てば風化し、忘れ去られることによって解決する問題というものも、世の中にはあるのかも知れません。しかし「硫黄島の砂」に刻まれた不思議な逸話は、こうしていつまでも語り継がれる、平和への祈りなのです。

<次回予告> 次回は「東京マラソン」にまつわる都市伝説をご紹介。空前の市民マラソンブームの裏に隠された秘密とは……お見逃しなく!

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