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【第十話】赤い色でイメージする物は……?
謎多きサンタクロースの「赤」

「サンタが配るのは魔法で玩具にした人間」
「アポロ8号はサンタクロースに遭遇した」
「悪い子の家には黒いサンタが来る」……

12月25日はクリスマス。
子どもたちが待ち焦がれるこの一夜に欠かせないキャラクターと言えば、サンタさんこと「サンタクロース」でしょう。

彼のトレードマークである「赤い服」。あまりに浸透しすぎてもはや違和感を抱くことはありませんが、そもそもどうしてあんなに派手な衣装で彼はやって来るのでしょうか。

「サンタクロースの服はなぜ赤い」
──あなたはこんな話を、聞いたことがありませんか?

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サンタクロースはそもそも伝説上の人物で、肖像や形態に共通のイメージはなかった。

1931年。とある清涼飲料の広告に、飲料のイメージカラーである赤い服に白いあごひげの、ご陽気なサンタクロースが登場した。

この飲料の人気は国境を越え、世界中で赤い服のサンタクロースを掲載した広告が人目に触れ、やがて世界共通のイメージとして定着した。

つまり、商品イメージの赤い服を着たサンタクロース像が、その強力な広告宣伝力によって、世界基準になってしまったのである。

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──いかがでしょうか。
この説が拡大解釈され「サンタクロースの元祖は清涼飲料の広告画である」かのように語られる場面も見受けられますが、正確には「現在のサンタクロース像を世界に発信し、定着させる要因となった」と言うべきかも知れません。

なにより1931年より以前に、赤い服のサンタクロースは存在したのです。

*    *    *

4世紀頃、ミラ(現在のトルコ周辺)の司教・ニコラウスが、貧しい家庭の煙突に金貨を投げ入れるエピソードが伝説となった

オランダでは14世紀頃からニコラウスの命日12月6日を「シンタクラース祭」として祝う風習があった。シンタクラースとは、聖ニコラウス(セント・ニコラウス)のオランダ語発音であり、後にサンタクロースの語源となる。

このシンタクラースは白装束に赤いガウンという司教服を身につけている。

17世紀。アメリカに植民したオランダ人たちが「シンタクラース祭」を持ち込み、枕元に吊した靴下に翌朝お菓子が入っているという風習と、赤い服のサンタクロース像がクリスマスのシンボルとして一般化していった。

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「サンタクロース」の語源としても納得のいくこの説。黒や白のイメージがある聖職者の服装ですが、祭儀の時に着る祭服には主に「赤」「白」「緑」「紫」「黒」「ピンク」6色があり、「赤」は殉教の色として、聖人(殉教者)のための祝日に着用するものだそうです。

──ここで、蛇足ですが「都市伝説らしいお話」も折角ですのでご紹介しましょう。

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サンタクロースのモデルである聖ニコラウスは、聖人としての尊い顔の裏に、たいへん厳格で激しい気質を併せ持っていた

そんな彼は、異端の教えを説たアリウスという司祭に対して激昂し、タコ殴りにした結果、免職されるという経歴すら持っている。

サンタクロースの赤い服は、気性の荒いニコラウスが浴びた「返り血」の象徴なのである。

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確かに、現存する聖ニコラウスのイコン(聖人の肖像画)は、穏やかで優しい顔つきのものと、目を大きく見開いた頑固そうな人相のものとがあります。
これも、聖ニコラウスが持つ聖人と暴漢の二面性を今に伝えるものなのかも知れません。

──さて、サンタさんの赤い服を紐解くと見えてくる、時代の世相と価値観の移り変わり。
激動の2013年は間もなく幕を下ろしますが、みなさんの穏やかで幸せに充ちたクリスマスを、こころよりお祈り申しあげます。

<次回予告>
「キューピッドさん」「キラキラさま」「守護霊さま」……世につれ人につれ、その名を変えて小中学生を虜にする降霊術「こっくりさん」。かつて社会現象化し、PTAでも問題になった「禁じられた遊び」の真相に迫ります

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